お茶とスルメ

プログラミングに必要なもの

kiitokと言うサービスについて、あるいは1on1について

tl;dr

昨日kiitokというサービスを使ってみました。 まだベータ版という位置づけです。
その感想と、その体験と、その他もろもろな記事です。

こういうの書くと、僕が転職したがっていると感じる人も、もしかしたらいるかもしれませんが、今のところそういう状態ではありません。 もちろんチャンスがあれば掴んで行きたいですが、積極的に転職を考えている状態ではないということは、一応事前に表明しておきます。

サービスについて

現在ベータ版なのでURLは以下です。正式リリース時は変わるでしょうね。
https://beta.kiitok.com/

サービス内容はこんな風に書かれています。

スタートアップ・メガベンチャーの現役エンジニアに1on1を依頼できる、ITエンジニアのためのキャリア相談/コーチングサービスです。

要は、キャリア相談とか会社でやる1on1を、お金払って外部の人に個人でお願いできますよというサービスです。

プランと金額はこんな感じ。

プラン 金額
キャリアプラン探し 8800円
市場価値診断 8800円
現職悩み相談 8800円
お試し30分相談 5800円

ちなみにメンターになってくれる人がどんな人かは、以下のページを参照してもらうとわかりやすいです。
https://media.kiitok.com/

は?なんで

なにそれ、1on1なら会社の上司にお願いすりゃいいじゃん?てか高くね?と思った人いるかもしれないので、それから説明していきます。

実をいうと僕の中で、ちゃんとした1on1体験というのは、今のところありません。 例えば1on1って意味があるの?と感じている人も、IT界隈には少なからずいると思っています。

今所属している会社でも1on1はあるのですが、まだまだ人も制度も仕組みも足りていないスタートアップなので、まだ満足が行くものではないです。
また、そもそも1on1はスキルが必要なものだし、そういう1on1のスキルというのは、実はとても貴重なのではないかという感覚があります。 スキルというのは、コーチング、メンタリング、傾聴とかそういうのですね。あとは技術的にすげぇってのも大事かと思います。
そういった状況の中で、会社組織に属しているとは言え、タダで自分の満足行く会話体験を得るのは、欲が深いのかなと。

今回ぼくはキャリアプラン探しという8800円のプランをお願いしてみたのですが、そういった意味では、高くない。むしろ安いかなーと思いました。
でも所属している会社で行うような頻度の高い1on1とすると高いですよね。僕も毎月や毎週お願いするのは無理です。それについては後述します。 さらに、実際の体験がよくなければ、この値段は高いと感じるものです。次項では実際の体験について述べていきます。

また別の要素として、「今つとめている会社は好きだが、とは言え自分のキャリアは、一つの企業という範囲から外れる話題だ」という点もあります。
もちろんその企業内でのキャリアに限って言えば、自分の上司に相談しない理由はないのですが、プログラマというのは流動的な労働市場に生息しているので、キャリアというのは一つの会社に収まるものではありません。 会社という営利組織の範疇外にも自分のキャリアがあるのであれば、第三者に相談するのは筋の通る話かなと思います。

実際

とりあえず面談の時に言われたのは「メモめっちゃ書きましたね」ってことです。
こういう1on1って、本来は信頼を作るためであったり、「人となり」がわかった上で行うものだと思っていて、そのコンテキストの共有がない状態で望むのが今回の面談でした。 そういう状況を補完するために自分を理解してもらうための文章は準備していきました。だいたいテキストで100行ぐらい。文字数は3000字程度。 8800円払ってますからね。時間を無駄にしたくなかったです。

その上でメンターの方は、それを目を通した状態で面談に望んでくれました。 僕はクドクド書く傾向があるのですが、それをちゃんと目を通してもらえたのはとてもありがたかったです。文章わかりづらいって言われるし。
そういうことだけでも、体験としてはまれなほうでした。 前々職の話ですが、基本的に「じゃぁ説明してよ」から入ることが多かったので。上司なんてそんなもん?いや違うよなー、モヤモヤみたいな。

面談の内容はプライベートなのであんまり書けないのですが、「自分の指向や考え方が変わっていくなかで、自分のキャリアをどう考えたらいいのか。またどうアクションすべきか。」というのが、メインテーマだったように思います。
だったように思うというのは可笑しな話で、基本は相談したいことがあって、面談に申し込むんでしょ?と思うかもしれませんが、自分の感覚は違っていて。
本来、1on1とか、キャリア面談とかっていうのは、そういうモヤモヤを解きほぐしてもらって、明らかにするもんだと思うんですよね。そこにスキルが必要なわけで。 その上で的確なアドバイスが貰えれば、素晴らしい体験となるわけです。
プログラミングだって、作るものが明確なら簡単で、ユーザを研究してそれを明らかにする仕事だってあります。(ホントは簡単じゃないですけど)

自分のことについて、わかる範囲のことは伝えた上で面談に望むのは大前提ですが、自分が期待していたのは、そういう部分でした。 繰り返しになりますが、それに対しては、8800円はらう価値あると思うんです。

んで、実際にそういうスキルを持って面談してもらえました。
自分の考えていることを解きほぐしてもらい、その上で、経験談おりまぜて話をしてもらい、厳しめの指摘内容も柔らかく、色々アドバイスしてもらいました。 とっっっっっっっっっってもありがたかったです。あーやっぱこういう人ってちゃんと現世に存在しているんだなって思いました。
たぶん自分の近くにもそういう人がいるorいたのですが、いかんせんそういう体験を得るところまではいけてなかったです。

面談の後は、メンターから面談のフィードバックをもらえます。 あとは面談はZoomで行い、記録されているので、その映像ももらえます。

というわけで個人的にはお願いしてとてもよかったです。
できれば次回も同じメンターにお願いしたいです。

今後

とは言え、毎月、毎週お願いするのは無理です。そもそもお給料をあげたくて面談するというのが人のサガなわけで、そんな金はありません。
面談前には、まー再度お願いするにしても、半年とか、一年毎ぐらいでお願いすればいいかなーと思っていました。 値段設定的にもそうだし、大人なので基本的に自分で問題を解決すべきと思っているし、そこのところの考え方は変わっていません。

でも面談直後は、面談をうけて色々考えたことで、あーこういうの話せばよかったなーとか、あーまた面談したらもっとうまく伝えられるかなー、もっといい的確なアドバイスを引き出せたかなーとか思いました。またすぐに面談したいなーと。 ですが、それはよい面談だったからなんだろうなーと思います。足りないぐらいがちょうどいいと言うか。一番濃い有意義な時間だったのだと思っています。
そういった体験の後に、同じことを体験しようと同じ手続きを踏んでみても、自分の経験上、同じ体験を得られないことが多いです。 たぶん内容の薄い時間になりがちだからでしょうね。

自分がやらないといけないのは、もう一度面談の映像を確認して、自分が聞き漏らしたことを、深堀して考えてみることかなと。 いろいろ考えてみて、それでもまた面談しようと思ったら、3ヶ月後くらいにまた申し込めばいいかなと。 そのときには自分も変化して、またその変化自体に、自分自身がついていけていない現象が発生していると思うので。

ということで、やはりこの値段設定の上で、継続的に利用するなら、半年とか1年毎になりそうです。

サービスについて

ここまで長くてクドい文章を読んでくれた人は、たぶん僕に興味がある(???)か、サービスを運営している人だと思うので、一応自分なりにサービスに対してもフィードバックしたいなと思います。
面談自体へのフィードバックについてはサービス上でメンターに対してできるので、サービス自体についてです。

似たサービスとして、メンタというサービスがありますが、あれは今はプログラミング教えるメンターを紹介しますよというサービスになっていて、もっと抽象的で個人的なことに対して問題解決するという毛色ではありません。
僕は技術的な部分については自分で勉強しますし。こういった形にはならないように、kiitokは気をつけてサービス設計されているように感じています。そこが好印象で、使ってみた次第です。

値段については僕個人として、妥当だなというか、安いなーと思いました。
たとえ値段が安くても、そうそう毎月、毎週お願いすることはないので、この値段設定は僕にとっては妥当です。 毎月面談なんかしたら、内容が薄くなってしまい、それこそ時間の無駄遣いに感じてしまいます。 たぶん運営側も、そういうの想定されてるんじゃないかなーと思うんですが、どうでしょうね。
できれば、そういう方向でサービスを育てて欲しいなと思いました。

また、上の想定であれば、特に重要なのが、面談以外の時間の使い方だと思います。
僕は比較的長い文章を事前に共有することで面談に望んだのですが、サービスとしてそういうコンテキストの共有が事前にしやすい設計にして欲しいです。 どういった形がベストなのかは想像できていませんが、少なくとも現状は以下の2つの情報を入力する欄が、webサービス上にあります。

  1. 自分の経歴
    いわゆる職務経歴書に書くような入力欄で、これはすべての面談に共通して共有されるはず。
  2. 面談を申し込む前に書くフリーテキスト
    これは一つの面談にのみ共有される感じがしました。

個人的にはこれは不足しているなーと思いました。 Wantedlyとかの入力フォームがイメージに近いのですが、プログラマの関心事をいろいろ入力欄として用意してあり、必須入力ではないが、入力すればするほどひととなりがプロフィール上に浮かび上がるみたいなのが理想かなと思います。
そういうのがあれば、僕も長文かかなくてよかったので。例えばこんな感じでしょうか。

  • 好きな技術スタック
  • 転職するしないかかわらず、いま気になっている企業
  • 会社を辞めた理由、辞めたい理由
  • なりたい姿
  • いま努力していること
  • いま苦しんでいること

テキトーに思いつくことを書いてみたのですが、キャリアを語る上でのキーワードって、そんなに広がりがあるわけではないと思うんですよね。

それと、そういった内容をもって、メンターを紹介する。つまりkiitokというサービス運営自体が、その内容を把握した上で面談を斡旋しますよ。ということが、もっとわかりやすいといいなと思いました。
基本的に面談の内容であったり、その事前コンテキストはプライベートなものになるので、メンターに共有されるのは当然なのですが、kiitokも知ることができる、というのは運営上の問題の一つです。 僕はけっこうオープンなので気にしないですが、気にする人は多いでしょう。しかし面談を斡旋する上で、適切なメンターを選ぶために知る必要があるというのも筋が通る話です。
なので、そこがサービス利用前に、はっきりわかったほうが誠実かなと思いました。これは、欲を言えばという部分ですし、まだベータ版なので正式リリース時には直ってそうにも思います。

あと、転職を考えている、考えていないというコンテキストがはっきりした上で、面談プランを選ぶというのはけっこう大事だなと思いました。
サービスとしてkiitokキャリアという別のものがあり、それとは区別して面談をお願いできるのはいいなと思ったからです。 実際の転職や採用の面談となると、相手の裏を読んで話してしまいがちなんですよね。それは面談の本来の目的を妨げると思うので、そういうコンテキストを排除して面談したいという部分があったからです。
この面談から企業を紹介してもらえるぜ!みたいなのは排除したサービスとして成長して欲しいなと思う次第です。 kiitokキャリアという別サービスがある以上、そういう傾向なんだろうなとは思うのですが。

最後にZoomで記録した映像をもらえるのはすごくありがたいなと思いました。 自分で何話したか覚えてなかったりするし、今後躓いたときに映像を見返したいからです。

あとはUIの導線がーとかは、自分がプログラマなので色々思うところありましたが、きっと改善していくのでしょう。
総合的にみて、とてもいい体験だったので、ぜひ今のままのサービスとして成長して欲しいです。

まとめ

最後に、面談してくださったメンターとサービスに感謝して、この文章の締めとしたいと思います。
ありがとうございました。